12回目の北海道〜秋の釧路湿原を蛇行する旅

2000年9月22日〜25日

野球のオフシーズンにふらっと出掛けて、すっかりハマってしまった北海道。
前年は魔がさして夏に出掛けなんとカヌーにハマってしまい、本業の野球がとてもおろそかになって…(笑)
そんなワタクシの12回目の旅の記録です。

今回は、直前まで休みが決まらなかった上、予定より長い休みがいただけてしまったので準備に少々手間取ってしまった。
結局、女満別往復で、常宿になりつつある釧路湿原とうろYH(標茶町)に3泊、という日程でまとまった。
カヌーは気候の関係で9月一杯までしかできないので、今回は何としてでも漕ぎたくてとうろに滞在することにした。
カナディアンカヌーは揺れに弱いため、ちょっと風があっても見合わせることが多いからである。


おそらく「えりも岬」千人浜方面
(飛行機より)

行きの飛行機が何故か遅れた。不吉である。空港〜網走駅行のバスは待っていてくれたが、
どう見ても列車の時間には間に合いそうにない。

「スミマセン、確か駅まで30分くらい…」

「何時の汽車に乗るの」

「16:18です」

「わかった、間に合わせるよ」

…アグレッシブな運転開始。さっそく「帰ってきたな〜」という気分になる。

釧網線は、始発の場合何時間もホームに列車がほったらかしになっているので、
発車ギリギリに行ってもあまり望みの席はとれない。
止むを得ず後向きで発車。

列車はオホーツク添いに東へ東へ。原生花園駅ももうシーズンをすぎて閑散としている。
知床斜里駅で目が覚めた。ここから列車は釧路をめざして南へ大きく曲がる。夕日を浴びた斜里岳が美しい。

知床斜里駅…確か、昨年原生花園駅(観光シーズンのみの臨時駅)で私の話相手をしてくれた「Yさん」は,
本当は斜里駅の駅員さんとゆうていたなあ…とふと思い出す。
「あなたはどうしてここが好きなの?」と尋ねてきて、一生懸命に私が話すのを嬉しそうに聞いてくれた人だ。

数年前、レンタカーで走った時にキラキラ光る涛沸湖に感動したこと、去年、ユースのママチャリで涛沸湖の裏をサイクリングしたら、
美瑛に負けないくらいの丘が広がっていて思わず見入ってしまったこと。とりとめもなく話した。

ホームの向こうに見える駅務室に目をやると、Yさんらしき人影が。
ただ、発車時刻が分からない。困ったなあ、と思ったら御本人がホームへやってきて、ホームで運転士さんに何やら書類を渡していた。
思わず窓を開けて「Yさ〜ん」と呼んでみたが、列車の機械音が大きくてかき消されてしまった。
何だか切ない気分のまま、とうろへ向かうこととなったのだ。

とうろではまた温かい出迎えを受けた。
「また来るって、本当にきたな〜」と6月にも大変お世話になったカヌースタッフのMさん。
「大雨で大丈夫だった?」とかあさん。到着したら荷物を置いて、前回の写真を見るのが私の慣例である。

とうろでは、毎朝9時に玄関の前で全員の集合写真を撮影する。
それをずっとアルバムに貼ってあるので、自分と一緒に泊まった人がそのあと何日いたか、とか常連さんまた来てるよ〜とか、結構楽しいのである。

初日は「サロマ湖でのバイトが終わって、ちょっと見てから帰ろうと思ってます」という学生さんと2人。
彼女は私と同じ列車だったらしく「斜里駅で人呼んでたから地元の子かと思ったわ〜」…見たな〜(笑)。
彼女は1月半にわたるサロマ湖での素敵な生活を語ってくれた。

翌日は彼女とかあさんと3人でカヌーに乗ることに。
これから先の天気予報がよくないので、「早めに乗っておいたら?」との勧めがあったからだ。
阿寒岳こそ見えなかったが、湿原はすっかり秋から冬へと移り変わっている。
丈の低い草原はまるでサバンナのような荒涼さ。…2回目だとまわりを見る余裕ができるな。

しかし先頭は主動力(真ん中はラク。最後尾は舵取り)。目の前に開けて行く景色を自分のものにできるのだが、少々きつい。

かあさん「あ、何かいる」と岸に寄せようとしたのか、目の前に枝が・・激突だ〜。
おお、溺れてしまうと焦ったが、何とか持ちなおした。しかし「サロマ子さん」はまともに枝に当たってしまい痛がることしばし。

釧路川でこういう痛い目に会う人は珍しい。
何しろ見ただけじゃ流れてるんだか流れてないんだか分かんないくらいゆる〜〜〜い川なんだから。
かあさんはいつも写真に入ってくれないのだが、今回は「おわび」と入ってくれた。


細岡カヌーポートにて。
漕ぎ終わって少々へたっている。

その後は一人で「夢が丘」へ。秘境の展望台なのだが、今回は祝日だったので地元のハイキング客に2組ほど出会った。
「こんにちは」と少々息切れしつつ挨拶する。ちょうど登り切った時、「湿原ノロッコ号」がやってきた。
誰もいなくなったところでユースで作ってもらったおにぎりを食べる。毎度のことながら最高の気分。「湿原掌握」といった感じ。

エゾシマリスが足元をちょろちょろする。真っ赤なトンボも一杯。秋真っ盛り。
今朝は7度だったらしい。日中は15度前後。油断して薄着でいると肌寒い。

その後、釧路湿原へ。ビジターセンターはお気にいりの場所で、唯一買い物と食事ができる施設でもある。
バスツアー客は割と素通りしていくのでなおさらよい。ここで買った手作りの湿原マップ(200円)はかなり重宝している。
ガイドブックは最近持ってきた記憶がない。

タンチョウや北海道の形に切った板ハガキを買って、その場で書いて投函した。
すると、カヌーをしてから一度YHに戻ったサロマ子さんの姿が。一緒に大観望へ上がる。
ここはメジャーな展望台で、バッジをつけた観光客達がどっと来てはいなくなり、その繰り返し。

湿原は基本的に平地だが、所々丘のようになったところがある。それを半島に例えて「岬」と呼ぶことを最近知った。
この大観望の対岸にある宮島岬・キラコタン岬からこの大観望の方を眺めると、それはもう絶景なのだそうだ。
ここへは立入許可がいる場合もあるそうで、とにかく歩くしかないらしい。未だ憧れにとどまっている場所の一つである。


大観峰より宮島岬、キラコタン岬(右上)を望む
(釧路湿原)

夕方の列車で戻ると、今日のお客さんが数名到着していた。
Nくんという27の人と「大船氏」と「平塚くん」という住所しか分からない人と話し込んでいた。
平塚にシーレックスを見にいったんですよ、とゆうたら2人から「神奈川県民以外でファンがいるんですね」とびっくりされてしまった。

「平塚」くんはヤクルト・古田似のおとなしい人で、背負うと後から頭が見えないくらい大きいリュックを持ってきていた。
「これ、駅の<小荷物預かり所>で心配なんで「大荷物ですけどいいですか」って聞いたんですよ」(爆笑)

「大船」氏は、札幌からきたお坊さんと息子(中学生)とザリガニを釣りにいく約束をしたため、早く部屋に戻っていった。
Nくんはダラダラ旅行で、適当に10/1まで休みを取ったので、それまでに帰ろう、という実にノンキな人。まるで学生のようだ。

翌日、朝起きてみかさんに挨拶をしたら、「ほれ、ザリガニ」 塩ゆでされて真っ赤になったザリガニが!
 「B級グルメだね〜」と笑いつつ食べてみたら、これがおいしい。本州のザリガニと大きさが全然違う。
「前に、湿原ロブスターよ、って言ったら信じていた子がいたわねえ」とかあさん。おいおい(笑)。

今日はどうしようかな〜と思っていたら、なんと9:30の列車でもう本日のお客さんが「荷物だけ置かせてください!」と。
ようしゃべる人で(笑)、「どこ行こっかな〜」と食堂で話していた私と「平塚」くんとNくんに「ワタシも一緒に連れてって下さい!」。
聞いてみたらなんと名古屋の人。もう1ヵ月も北海道にいるのでよく状況が分からない…と、大雨の時のことをいろいろ聞かれた。

「二本松」というがけっぷちの展望台に行くことにした。看板も何もないので、地図と目印の二本の松が頼り。
塘路湖の横を走る391号からそれて、道道久著呂線(砂利道)を延々と歩いて行く。一人で歩いていたら不安になりそうな所だ。

何を思ったか、「平塚」くんは「僕、ノロッコに乗るのでもう戻らないと」展望台はもうすぐそこだぞ。そして列車はあと40分後だぞ。
「20分で戻れるのに」「いや、でも余裕をみないと」「では、この先もよい旅を」…何もない砂利道で彼と別れることになった。
「彼は列車が来る15分前にはホームにいないと気が済まないタイプだな」

二本松に向かって、はげ山のような所を登る。ここで靴の話題。

「昨日、大観望(湿原の一番メジャーな展望台)行ったんですけど、ツアーで来ているお姉ちゃん達はスカートにブーツで歩いとるんですわ。
ワタシなんかすっかり『街仕様』を捨ててますのに、あんなんでは虫に刺されますよね」

「って、ヌエさんかてそんな靴では、まだあきませんな」

「そうそうそうそう、おとつい黒岳のロープウェイにエナメル靴にセカンドバックのおっちゃんが乗ってたわ。
うち、正統な格好で行っとるのに、こっちが変な目で見られんだが〜」

「自分の足で歩いてみな、バスばっかりじゃ印象も残らんわな」

ここもまた絶景。再び「湿原掌握」。
「おにぎり食べよっかな〜」と、またユースで作ってもらったおにぎりを出したところ「3人で一つのおにぎりか・・」とNくん。
これは私のだ。崖の上でケンカをすると危ないので、おにぎりはしまって駅の方へ向かう。
ノロッコ号はホームに来ていたが、まだ動いていない(笑)。

2人は標茶町の休日イベント「とんぼ講座」に出るとのこと。
私は塘路駅舎内の「ノロッコ&8001」でコーヒーを飲みながら列車を待った。


「くしろ湿原ノロッコ号」の内部。右は私と同じナゴヤの旅人。
机の上にメニューがあり、飲み物など車内で買えます。

再び釧路湿原駅に降り、昨日と同じビジターセンターへ。
2階の展望ベランダでおにぎりを食べながらキラコタン岬の方向に目をやる。だんだん天気が崩れていくような雰囲気であった。
帰りの列車は湿原ノロッコ号。10回以上見たことはあるのだが、なんと初乗車。
この時期は1日2往復の貴重なトロッコ列車である。

名前の通りかなり遅い列車で、その分湿原を堪能できるというわけだ。
車内放送には動物や草木の案内も盛り込まれている。乗車証(しおりのようなもの)ももらえる。

釧路湿原駅でしばし駅員さんとお話をする。
SLはボイラーの免許が要るから、近年入社した人では無理なのでOBに頼んで運転してもらっているとか、
国鉄時代の話とか、名古屋に行った話とか。

駅に着くと、「とんぼ講座」に行った2人がいたので一緒にユースへ戻る。
小雨が降ってきた。「ただいま〜」と帰ると、みかさんが「ヒマやったらザリガニ放してくれん?」 見ると、玄関にバケツ。
食べたらかわいそうな小さい物はそのままになっていたのだ。

バケツを下げて夕食前の散歩に出た。
どんな映画か知らないのだが、「挽歌」のロケ地にもなった「二股(ふたまた)」という釧路川とアレキナイ川の合流地点に
見晴らしがよく川べりまで降りられるところがあるので、そこへ行くことにする。
死んじゃったのかな? と思うくらい動かなかったサリガニ達、放した途端にわっしわっしと動きだした。ホッ。

夕飯も終わりミーティング。雨が本降りになってきた。
今日は「ナゴヤっ子さん」ともう一人東大1年生が同室。
26日に富良野か美瑛の実習場で東大の選択授業があるので、道内をかなりの人数の東大生が旅しているようだった。
「うわ、これで東大生会ったの5人目!」というホステラーさんも。

Nくんと今日やってきた大阪のHさんと東大生と私の4人で学生生活の話に花を咲かせる。
Hさんは翌日カヌーに乗ることになっていたので、しきりに天気を気にしていた。
雨はひどくなるばかり…。
私は、自分の用が済むと雨を降らせるというタチの悪い晴れ女である(笑)。

最終日。雨のため、室内で「9時の記念撮影」をする。飛行機がちゃんと飛ぶといいのだが…。
Mさんはカヌーシーズンが終わり次第帰ってしまうので、冬にはお会いすることができない。
列車の時間が迫っても、なかなか「行ってきます!」とユースを後にすることができなかった。

網走に向かう快速「しれとこ」に乗った。
Nくんは摩周まで(30分程度)、もう一人同宿だった横浜のHくんは藻琴まで(網走の3つ手前。ほとんど一緒)。
摩周で降りて行くNくんとがっちり握手をかわした後、何話そう・・とまずここに至るまでの旅の話をしているうちに、
Hくんは私と同じ歳の上同業者ということが判明。学生時代の実習や国家試験、仕事の話になる。なんだかほっとした。

知床斜里駅。話を中断して駅務室を覗くが、Yさんの姿はなかった。

藻琴は何もないところである。「牧草ロール転がし選手権」が有名。
Hくんは「ステーキの美味しい店があるんだよ」と降りていった。
雨でガラスが曇って、手を降ってはみたものの、姿がぼんやりと見えただけだった。ここからはまた一人。
ユースの「つかず離れず」な人間関係は気ままな旅にピッタリだ。

網走に到着。ローソンで「北海道ウォーカー」と「醤油バターライスおにぎり」を買う。
いつも通り、網走駅前郵便局で旅行貯金と記念切手の購入を済ませてバスを待つ。
商店街の方にある「網走郵便局」だと、「流氷とクリオネの街 網走郵便局」というハンコを押してくれるのだが、
雨だし歩くと遠いので、お土産を商店街で買うのも併せて断念する。

その代わり、1本早い空港バスに乗って女満別空港で買い物をすることにした。
今の時期、名古屋へは1日2便運航しているが、どちらにせよ9:30に塘路から列車に乗らないと間に合わないので(笑)
早い便に乗って、早く帰って休もうという考え。

この、「1本早いバス」「昼便」を選んだために後でこんなことになるとは…

最終章へつづく



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